第50,51回講座「郷土の技 ~お正月飾りづくり~」

開催場所 君津亀山少年自然の家
開催日時 2013年12月26日

テーマは、「お正月飾りづくり」
千葉県立君津亀山少年自然の家にて

 最低温度が5度を下回る日が多くなってきた。寒さが増し、正月が近づく。残すところ5日となるこの日の講座は、郷土の技をテーマに、お正月飾りづくり教室。曇天の君津亀山少年自然の家で行われた。

指導された地元の達人は、関西出身の村岡講師と地元にお住まいの細川・朝生両アシスト。普段は子どもたちを相手に少年自然の家の指導員として活躍しておられる方々である。工作室には、新年を迎える家々に飾られる伝統的な門松や稲藁を使ったしめ飾りなどが並べられ、年の瀬の雰囲気を醸し出していた。縁起が良い植物・千両とそれに添えられた、一両・十両・百両・万両の鉢植えも並んで展示されている。飾り付けや展示する植物探しに努力された様子が伺えて、講座にかける3名の意気込みを感じた。

右から村岡、細川・朝生各指導員完成した鳥居飾り

第50・51回講座 「郷土の技」
講師 村岡宏樹・細川美代子・朝生あさこ各子氏(君津亀山少年自然の家指導員)
日時 12月27日(木)10:30~15:00
場所 千葉県立君津亀山少年自然の家

玄関を飾る鳥居・輪飾りを工作

 ブルーシートが敷かれた工作室には、講座で使う稲わらや裏白(ウラジロ)やゆずり葉、橙などが用意されていた。玄関や台所、神棚に飾る注連飾りのサンプル4種類も展示され、この日は玄関に飾る鳥居飾りと輪飾りの2種類に挑戦した。取り掛かる前に村岡講師からユーモアに富んだ講釈を聞く。正月飾りに用いる材料は縁起物で飾られそれぞれに由来があるが、その縁起物の講釈である。いきなり工作を開始するのではなくこうした語りを聞くのも悪くない。話し方は軽快、笑い声がしばしば聞かれたが、いざ工作を始めると全員の表情は一変、真剣勝負のごとく2時間半の作業に熱心に取り組む姿が印象的であった。

午前中は鳥居飾りづくり。昨年に比べると作業はずっと順調だとおだてられ、お蔭でりっぱな飾りが出来上がる。午後からの輪飾りづくりはそうはいかなかった。稲わらを使って縄を綯う作業から始まったが、稲わらひねりがなかなか難しい。スムーズにいく人、首を傾げる人と作業にばらつきが目立つようになった。注連縄は左ひねりで綯うものだとかで右利きの人には不利、模範演技のようにうまく綯うことができない。筆者も挑戦してみたが、何回も同じことをくりかえし練習する羽目になった。縄綯いが終わって帰る頃には手の平の肌はがさがさに荒れてしまっていた。

稲わらと裏白(ウラジロ)、ゆずり葉、橙、稲穂を使っての鳥居飾りづくり。親切に教えてくれた細川達人。松に梅、南天、熊笹で作られた門松。神棚に飾るしめ縄飾りは、御幣、サカキ(ヒサカキ)が材料。村岡講師より、お飾りに使う材料(縁起物)の由来などについて講釈があった。稲は古代より豊作祈願に用いられた。
ウラジロは長寿を願って、ゆずり葉は家系が絶えないように、橙は代々の繁栄を願って使われるとか。鳥居飾りづくりの模範演技を示す村岡講師。神様を迎え祭る清浄な場所を示すため、今年とれた新しいわらを使って鳥居を作る。
真剣な表情で取り組む姿が印象的。鳥居飾りは、しめ縄を綯わなくてよい。お蔭で午前中の作業は順調だったが…。鳥居飾りの最終工程の模範演技。橙を飾り付けて完成する。
見事な門松。新年に訪れる氏神を迎えるために門に松を立てたのが始まりとされ、一年の幸福を授けてくれることを願って立てられる。神棚を飾る太しめ飾り。太しめ縄とサカキ(関東ではヒサカキが多いとか)、幣帛で飾る。サカキとヒサカキ(手前)の違い。写真では判りにくいがサカキには鋸歯がなく、ヒサカキにはある。
アリドオシ 和名は蟻通し。1両とも呼ばれる。千両、万両、有り通しとも呼ばれることもヤブコウジ 和名は藪柑子。千両やカラタチバナ(百両)と並び十両とも呼ばれる。カラタチバナ 和名は唐橘。百両とも呼ばれる。
千両 仙蓼と書かれることも。万両と千両 千両は上に、万両は下に実をつける。全員で卒業用の記念写真。
第1班第2班第3班

トップに戻る