第44、45回講座「病害虫入門、肥料入門」

講師 竹内妙子、坂本昌夫
開催場所 塚本ビル
開催日時 2013年11月21日

テーマは、「病害虫」と「肥料」
塚本大千葉ビルにて

 24節気では小雪。朝夕の冷え込みが身に染みるようになり、厚着が必要となった。このところ、君津、館山、習志野・船橋と遠出のフィールド学習が続いたので、今日は久しぶりに腰を落ち着けての講座となった。テーマはいずれも農業分野。農作物や花栽培をしている人やこれから始めようと考えている人には、体系的に学べる良い機会であり、必要な基礎的知識を学ぶ場になったに違いない。

 午前の竹内妙子講師は、農業試験場での経験を基に、現在ご自身が楽しんでおられる農作物づくりの体験を織り交ぜての「病害虫入門」に関する講義。午後からの坂本昌夫講師による「肥料入門」は、7月の「土壌入門」に続くもので、母なる大地の恵みを受け取るために植物に施す必要な肥料について紹介する講座であった。

竹内 妙子講師坂本 昌夫講師

第44回講座 「病害虫入門」
講師  竹内 妙子氏(NPO法人千葉農業支援ネットワーク調査役)
日時  11月21日(木)10:00~12:00
場所  塚本大千葉ビル8階会議室

農作物等の異常症状の原因と対策について

 農作物の病気が専門の竹内妙子講師は、現在、自宅近くの畑でいろいろな作物を育てておられ、予想していたとはいえ、カラスなどの病害虫に悩まされることが多いとか。せっかくの農作物に異常症状が出てしまうことは残念なことであり、その原因と対策について、専門家と農業仲間の目線で語りかけられた。

植物が病気を発症したとき、原因は何か、これを突き止めておくことが肝要である。どんな症状が出たのか! 葉や果実の実にまだらに緑の濃淡が出た! えそ斑点が出 た!或いは、萎縮した! そんな時はウイルスが疑わしい。ナスの青枯病のように茎、葉、花、果実などが萎凋し、腐敗・軟化して悪臭を発する時は、植物の組織に侵入した細菌が原因か。苗立ち枯れ、萎凋、徒長、斑点、腐敗、落葉など様々な症状が出た時は菌類(カビ)病を疑ってみる。植物の病気の7~8割はこの病気が占めているそうである。病気の名前は現れる症状に似た名称が付けられていることが多いそうで、これは分かり易い。それに、茎や葉をかみ取って食べ、或いは、葉などに侵入して組織を食べる害虫の被害もある。

病害虫入門講座の始まり。異常症状の原因:1.ウイルス・細菌・菌類による病気、2.害虫・鳥獣、3.気象・土壌・肥料・化学物質により発症ウイルス病の症状:葉などが緑の濃淡のまだら状になるモザイク病、喝変して斑点状に餓死するえそ斑点、萎縮、奇形などの症状がある。

ウイルス病の伝染:7~8割は昆虫による伝搬とか。その他、汁液・土壌・種子によって伝染することもある。ウイルスが原因のキュウリモザイク病教室の様子

細菌による病気のトマト青枯れ病様々な病状が現れる菌類病菌類が原因のきゅうりうどんこ病

害虫(コナジラミ類)による被害害虫(アブラムシ類)による病気トマトにおける総合防除の例

第45回講座 「肥料入門」
講師  坂本 昌夫氏(NPO法人千葉農業支援ネットワーク理事)
日時  11月21日(木)13:00~15:00
場所  塚本大千葉ビル8階会議室

肥料とは、化学肥料、有機質肥料、堆肥について

 植物の体を構成する元素で、酸素、水素、炭素などの多量要素は水と二酸化炭素から得られるが、窒素、リン、カリウムの多量要素は欠乏しやすい。不足するこの3要素を補うものが肥料。植物の体のしくみを作る元素で、窒素は植物を大きくするのに欠かせず、リンは植物体内のエネルギー代謝を促進、カリウムは細胞がうまく働くためのバランスを維持する要素として必要なものだ。
肥料には化学肥料がある。これを説明するには化学式が必要となるが、化学の苦手な人が関心を逸らさないように、坂本昌夫講師は苦心されながら講義を進められた。マークしておかねばならない事項、例えば、施肥の3つの重要法則や化学肥料の効果や有機態肥料については、苦手組にも配慮した丁寧な講義が行われた。お蔭で興味を持続させながら話を聞くことができた。

ジョークを交えて講義された坂本講師講義風景



欠乏するものを補う肥料
植物体の構成要素の内、炭素、水素、酸素は自然界の水と二酸化炭素から得られるが、欠乏しがちとなる要素が窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)である。これを補うのが肥料。肥料効果が高くなる。鉄、マンガンなどの微量要素は土壌に元々存在しているものであり、肥料として与える必要はない。




最小養分律
施肥には重要な法則がある。その一つが最小養分律。植物の生育は植物に与えられる養分中、最小のものに支配されるという法則。
この絵のように、樽に水を入れると、上部の一番低い所から水が漏れてしまうことになり、一番低い板の部分で生育が決まってしまう。



収量漸減の法則
一般に作物の収量は施肥量を増加させると高まるが,あまり多量に施すとそれほど効果は上がらなくなる。





質量保存の法則
同一農地で持続的な生産を行っていくためには、農地から収奪される成分を供給せねばならない。



化学肥料の例。この化成肥料888には、窒素、リン、カリウムがそれぞれ8%含まれている。緩効性肥料の例。ゆっくりと長く効く。

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