第38,39回講座「山の自然入門」

講師 尾崎・原
開催場所 清和県民の森
開催日時 2013年10月24日

テーマは、「山の自然入門(2)」
清和県民の森にて

10月に入ってから遅い台風の襲来に悩まされている。小諸行きの際は台風22号、先週の講座(10月17日)の時は26号、そして、今回は27・28号が続けざまに関東を襲っている。この日は、バスとシェアした車で清和県民の森に39名が集合。朝方は降っていなかった雨が森に着くころには小雨となって降り始めたが、雨だけならば問題なしとの講師判断で観察に出発。その雨もお昼前には降り止んでいた。  

森林生態学が専門で、房総丘陵の動植物を知り尽くす尾崎煙雄講師と「山の自然入門(1)」を担当された原正利講師がアシストする講座。樹木の葉を通して房総の山の自然を学んだ。

午前から昼にかけて、山道を登りながら周辺に生えている清和の森の主な樹木や低木の葉を採取。3名のチームに分かれて、両講師が教えてくれた房総の代表的な樹木を中心に30種類以上の葉を集めた。午後からは、尾崎講師の指導で採集した葉の名前を一つ一つ確認し、それぞれの特徴について解説を聞いた。

第38・39回講座 「山の自然入門(2)」
講師  尾崎 煙雄氏(千葉県立中央博物館生態学研究科・房総の山のフィールド・ミュ
ージアム上席研究員)
    原 正利氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館分館長)
日時  10月24日(木)10:00~15:00
場所  千葉県立清和県民の森

尾崎 煙雄講師尾崎講師と原講師

清和の森のいろいろな樹木たち

 小雨に煙る山に入る前に、先ず、30分間のオリエンテーションがあった。山に入って注意することは、蛇(マムシ、ヤマカガシ)、蜂(スズメバチ、アシナガバチ)、蛙に対する用心で、この3種類が要注意生物とのこと。
その後、セラピーコースに指定された山道を登り始めた。立ち止まり、立ち止まりを繰り返しながら両講師の解説に耳を傾ける。そのせいで登りの山道もほとんど気にならない。うんちくを述べ合いながらの樹木の葉の採集は結構楽しいものだ。樹木に気をとられていたらいつの間にか雨は上がっていた。午後からは、集めてきた樹木の葉を確認した。

“この山の樹木のことは今ではほとんど知っているが、最初の2年間は名前を覚えるのに大変な努力を払いました。“無理して名前を憶えて帰ろうと思わない方がよいですよ。”と、受講生の緊張を解いた上で講師は一つ一つの葉について解説を加えられた。樹木の葉を見分けるのはなかなか難い。形や大きさ、鋸歯や葉脈、葉柄などに違いを見付け特定していかねばならない。この名前調べがそれだけには終わらなかったのは、樹木の葉の相違は実は樹木たちの成長戦略によって生まれたものであることを教えてもらったことや初めて聞く葉の形状(羽状複葉)の話やパイオニア樹木のことなど、大変参考になることを解説の中で知り得たからだ。

清和県民の森が、「山の自然入門」講座の会場。小雨が降り出したため、出発前のオリエンテーションは管理棟で聞く。山での注意事項を聞いた後に出発

いろいろなコースがある県民の森。セラピーコースが今日のルート。登るルートの特徴を説明する講師立ち止まりながら樹木について解説

最初に採取したのは麓のコナラ山道を登り始めるセラピーコースの登り口

案内板は観察の良きアドバイザー案内板に解説してあったヒサカキヒサカキの近くで見たヤブニッケイ。お互いに葉がよく似ていた。

秋深し、垂れ下がるアケビの実小雨の中でも熱心に続く山の観察山に入り、立ち止まりを繰り返しながら講師の解説を聞いて葉を採取。

地域特産の爪楊枝に使われるクロモジ。案内板には黒文字と書いてあった。午後から、採取した葉の名前を確認。これは大人の知的な楽しみになる。ウラジロガシの葉。同じブナ科のアラカシの葉も似ているが、よく見ると葉脈が違っていた。

サカキとヤブニッケイ。形状は似ているが、葉脈が違う。ヤブニッケイ(楠科)。葉を噛んでみたら、シナモンの香りがした。形や触った触感が似ていた常緑広葉樹のサカキとヤブニッケイ。葉脈が横縞と縦縞で違う。

形状が似る楓。右端が良く見かけるイロハモミジ。針葉樹のスギとヒノキの葉が似ている。同じように、モミとカヤとツガも見分けが難しかった。山椒の葉は、羽状複葉(うじょうふくよう)だと教わった。これ全体が一枚の葉とは!

カヤの葉。モミの葉と見分けがつかなかった。先端が二つに割れているモミ、尖っているのがカヤ。イヌガヤ。カヤに似ていて先端が尖っていたが、カヤではない。触っても痛くなかった。

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