第14・15回講座「海の自然入門」

講師 奥野淳兒
開催場所 海の博物館
開催日時 2012年6月21日

テーマは、「海の自然入門(その1)」
勝浦の海岸でフィールド学習

講座名「海の自然入門(その1)」 勝浦の岩礁海岸にて
講師 奥野淳兒氏(県立中央博物館分館 海の博物館上席研究員)
内容 外房・勝浦にある県立海の博物館前の磯で、潮間帯にすむ生き物を採取し博物館に
持ち帰り、その分類や名前調べを通して、海産動物の多様性を学んだ。

奥野淳兒講師磯のオリエンテーション
左奥に見えるのが、海中展望台

県立海の博物館(勝浦)海水が引いた博物館前の磯

海岸にすむ生き物の観察を通して、海洋生物についての知識を!
本日の講座は、奥野淳兒講師による野外+体験学習(午前・午後)。甲殻類の分類研究を専門とする奥野氏から、磯観察の方法と生物の名前の調べ方について指導を受け、海の小さな生き物を探し採取して、その名前を調べる学習を行った。お陰で楽しみながら知識を身に付けることができた。
前々日の台風通過による強風が吹き荒れた日から2日しか経過していないのに、再び台風が接近しこの日の天候が危ぶまれた。午前中は何とかもつのではとの天気予報に期待しつつ講座に臨むことになったが、バスの車中にて “6月7日に植えたさつまいも畑のマルチシートの一部が強風で吹き飛ばされた”との事務局からの報告もあり、台風に悩まされなければよいがと念じながら磯の観察が始まった。しばらく経った11時半過ぎ、強い雨が降り始め、結局、予定を少し早めて午前の観察会を終えることになった。
午後からは、天気は一転、雨も止んでほっとし、生き物の分類に夢中になっていた矢先、今度は突然の火災発生の警報が館内に流れるというアクシデントが発生し、少し時間をおいてこのアナウンスは誤報であることが知らされたが、突発的な出来事が連続して起きて一同をやきもきさせることになった。幸いに、一日を通して、研究室での体験学習も博物館の青木先生など博物館スタッフの協力もありスムーズに行われ、磯での観察中の転倒などによる怪我人もなく、有意義で楽しい講座を受けることができた。

10時15分に外房・勝浦にある県の海の博物館に集合、オリエンテーションを受けて曇天の磯に出た。心配していた沖の波はおだやかだ。この時期の潮間帯は特に海水がよく引いて観察には好都合だとのことで、今日の観察会は良い時間帯(今日は11時過ぎ)を選んで行われた。確かに、干潮帯の磯には岩場が干し出て、あちこちに潮だまりが見えた。タモ網と箱めがね、小型ポリバケツを使って、岩場を歩きながらタイドプールに取り残されている様々な生物(海産動物)を採取することができた。11時半頃、雨が強くなり、早めに観察会を切り上げて陸に上がり、博物館までサンプルを持ち運んだ。





午後からは、教室を博物館の研究室に移し、取ってきた生き物のグループ分けと名前調べを行った。 “この短い時間でこんなに多くの生き物が採取できるとは、さすがに年季が入っている!”と奥野講師が賞賛されたように、いろいろな生物が採取されており、プラスチックの水槽に入れて分類してみたら、中には小さなタコやアワビ、大きそうなアメフラシなどもいた。名前調べは憶えることが目的ではないと断りがあってスタートしたものだが、始めてみると皆がはまってしまうということは、童心に帰るということなのだろうか?
サンプルと生物図鑑を見比べながらの熱心な調べがしばらく続いた。調べが終り、採取したサンプルは岩場に持ち運び、海に返してから博物館を後にした。
注)潮間帯(ちょうかんたい):満潮線と干潮線の間で、1日のうちに陸上になったり海中になったりする部分
水槽に分類すると、砂タコもいた!
名前調べにはまってしまう!!

勝浦の岩礁海岸にいた動物たち
 奥野講師によると、海の中には陸上では見られないグループの動物がまだたくさん残っていて、分類学的に見たら大きな単位(高次分類群)では、海の動物の多様性は陸上のそれに比べて圧倒的に高いとのことである。今日採取した生き物をこの「目」の単位で分類を行ってみたら、正確には数えていないが各班のものを集計してみると、採取してきた種類はざっと抜き出しても下記のものが見つかった。

観察した主な磯の動物
1.アメフラシ
2.ヒトデ(数種類)
3.ウニ(数種類)
4.カイメン
5.貝(数種類)
6.カニ(数種類)
7.イソギンチャク
8.ウミウシ
9.ヤドカリ


これを分類(目単位)したら、この海岸で9目の動物を観察することができた。
1.節足動物(カニ、エビ、ヤドカリなど)
2.軟体動物(貝、ウミウシ、タコ、イカなど)
3.棘皮(きょくひ)動物(ウニ、ヒトデ、ナマコなど)
4.刺胞(しほう)動物(クラゲなど)
5.海綿動物
6.脊索(せきさく)動物(魚、ホヤ、人)
7.星口動物(ほしくち)(ホシムシなど)
8.環形(かんけい)動物(ゴカイ、ミミズなど)

尚、真核動物の最上位は、「界」で、以下、「門」―「網」―「目」―「科」―「属」
―「種」の順に分類され、最下位の分類が「種」となる。

次回は、6月28日の講座
第16回講座は、渡辺智子講師による「健康な暮らしと食・その2」 
第17回講座は、甲田暢男講師「野菜入門・その2」

トップに戻る