第60回講座「海の自然入門」

講師 青木・菊池
開催場所 海の博物館
開催日時 2014年2月27日

テーマは、「海辺の自然観察」
勝浦市鵜原理想郷にて

 太平洋を見下ろす岸壁に吹き付ける風は強かったが、大雪が降った先週に比べると気温が上がりこの風も気にならない。小雨予報の曇天の下、風光明媚な鵜原理想郷の海岸美を楽しみながら海辺の自然を観察した。折から勝浦市では全国にその名を知られた雛祭りが行われており、午後からは、この祭りを楽しんで帰ってきた。

 青木慎哉、菊池則雄両講師が案内する海辺の自然を観察する講座。夏に行われた「海の自然入門」のパート2に当たる。青木講師は岩石海岸や砂浜海岸に見られる代表的な植物を案内、菊池講師は波洗う浜で専門の海藻について解説された。現場は自然情報の宝庫であり、教室で耳から聞いて学ぶのと違って、目で見て解説を聞いて手で触って学ぶことができる。同じ理解でもより深い理解を得た思いだ。

青木 慎哉講師菊池 則雄講師

第60回講座 「海の自然入門」(その2)
講師  青木 慎哉氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館上席研究員)・菊池 則雄氏
日時  平成26年2月27日(水)10:00~12:30
場所  勝浦市鵜原理想郷

観察した海浜植物と海藻

 前回の講座では海辺の生物を採取し観察した。今回は岬を巡り磯浜に下り、或いは砂浜の道を歩きながら海辺の植物と海藻を観察する。岩石海岸(磯)と砂浜海岸(浜)にポイントを絞っての青木講師の講義は、ここに生育する海浜植物の種類と特徴を語るもの。要領良い解説が聞けた。先ず訪れたのは、河口や干潟に比べると植物群落が自然に保たれている岩石海岸。その現場を前に断崖の垂直方向に育つ植生について語られた。潮風が吹き付ける磯浜ではイネ科やカヤツリグサ科の多年草について、岬の道を下る途中では、クロマツ林の林縁部の明るい所に育つ低木のトベラ、ヤツデ、オオバグミ(マルバアキグミ)などについて解説された。海沿いの砂浜海岸では、波打ち際に生えるハマダイコンやオカヒジキなど一年草の特色について学んだ。

海の博物館前に集合。ここから鵜原理想郷に出発。早咲きの河津桜が出迎えてくれていた。愛でながら海岸に向かう。8分咲の河津桜。右の写真は海岸に行く途中で紹介されたノシラン。あちこちで青い実をつけていた。
ノシラン。8月後半に白い花を咲かせるが、これが熨斗に似ていることからこの名前が付いたとか。鵜原館の横を通り、理想郷に入る。手掘りのトンネルを抜け、海岸へ。リアス式の美しい入江入江の先は太平洋の荒波海岸によく見られるヒメユズリハ
ヒメユズリハカクレミノ。混在する全縁と3裂の葉ヤブツバキのトンネル
理想郷を詠んだ句碑の前で解説を聞く名勝・手弱女平(たおやめだいら)
眼下に勝浦海中展望塔が見えたあちこちで目にしたオオバグミ。葉の裏が銀白色。オオバグミの実。3~4月には赤く熟すとか。
磯浜に下り、ボウシュウマサキ、オニヤブソテツ、ボタンボウフウなどを観察岩石海岸の断崖に見られる垂直方向の植生。ツワブキが一番下、順に、オオバグミ、トベラ、クロマツ,ヤブツバキ、ヤブニッケイ、タブの木が生えていた。土壌の厚さにより上にいくにつれて高木となる。
浜辺で解説される菊池講師アオノリとハバノリ食用となるアオノリとハバノリについて解説を聞く
鵜原海岸午後訪れたビッグ雛祭り会場(遠見岬神社)工夫を凝らした雛飾り

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