エコ・ツーリズム体験ツアー

開催日時 2013年11月28日

テーマは、「エコ・ツーリズム」
南房総のエコ・ツーリズム現場を視察

 総勢35名(専攻科5名、事務局3名含む)が参加し日帰りバス研修旅行が行われた。午前は初冬のうすら寒い天気だったが、昼食を食べ終わる頃にはその天気も一転。太陽が顔を見せて、黄色に染まった里山は明るい光に包まれ輝いた。一日の視察を終えて帰路につくと、東京湾上に富士山の黒いシルエットと夕日に染まった板状の白雲が頂に懸かる神々しい光景に出くわした。めったにお目にかかれない自然の美しさに車中から息をのむ。

 今回のバス研修旅行は、過疎化が進む南房総の里山を舞台にエコ・ツーリズムによって地域活性化に取り組む団体を訪ね、その現場を視察することが目的。シニア自然大学のこれからの活動拠点の一つとなる茅葺の古民家「ろくすけ」(南房総市平久里)を含む5団体を訪問した。「環南みんなの楽校」(富津市)、「森の時計・自然工夫塾」(鋸南町)、「大山千枚田保存会」(鴨川市)、「自然の宿・くすの木」(南房総市和田)の順に回り、最後に「ろくすけ」を訪れた。多少欲張ったスケジュールのため駆け足旅行となったが、各訪問先ではそれぞれで温かいもてなしを受け、活動の内容について概要を聞くことができ、南房総の実情を知る良い機会となった。各団体は地元の住民を巻き込みながら、小中学生や都会人に自然に触れる機会を提供する活動を続けておられる。訪れる人の数も着実に伸びているようで、これからの活躍が期待される。生き生きと活動しておられる姿を見て、もう少し近ければお手伝いしたいのだがとの声も参加者から聞こえてきた。

「ろくすけ」(平久里)の棚田を視察鋸南の森の時計杉山代表の話を聞く

バス研修ツアー
日時  11月28日(水)8:00~18:00
訪問地 富津市・鋸南町・鴨川市・南房総市(和田・平久里地区)

南房総のエコ・ツーリズム拠点を巡る

1.環南みんなの楽校(富津市志駒・山中)
廃校になった小学校を活用して、地元住民が子どもに自然体験の機会を提供する。
2.森の時計・自然工夫塾(鋸南町)
地元住民と協働で、自然の中でのくつろぎ、農体験、自然体験の機会を提供する。
3.大山千枚田保存会(鴨川市大山)
棚田のオーナー、トラスト制の他、子どもの自然体験プログラムを提供する。近年は観光を目的とした鴨川の夜祭り企画を観光協会とともに取り組んでいる。
4.自然の宿「くすの木」(南房総市和田)
廃校を活用した地域おこしでは全国のモデルになった宿泊施設。自然体験、給食、郷土の味弁当等を通して地域おこしを行っている。
5.茅葺古民家「ろくすけ」(南房総市平久里下)
茅葺屋根や家の改修を行いながら、都会からの人も宿泊利用できる古民家を活かした地域おこしの場として、簡易宿泊所の認可取得を目指している。

志駒もみじロード(志駒渓谷)の紅葉。鮮やかに赤く色づいていた。志駒・山中地区(富津市)の皆さんが出迎えてくれていた。右端は池田区長。環南みんなの楽校の取り組みについてその概要を聞いた。5年で実績が残せるようになり展望が開けてきたとか。

風が吹く肌寒い日だったので、薪を焚き、温かい牛乳と甘酒を用意して迎えてもらった。温かいもてなしに感謝。森の時計・自然工夫塾の杉山代表から里山の紹介と苦労話を聞く。地元の人と会員とで協働しながら都会人を迎える。横浜からこの地にやってきて10数年になる杉山ご夫婦。美味しいケーキと温かいコーヒーのもてなしを受けた。

森の時計の畑やログハウスなどを視察した後、長狭街道で待機するバスに戻る。森の時計・自然工夫塾のお休み処。ここでコーヒーなどを楽しみながら寛げる。(千葉自然学校ホームページより)大山千枚田に到着。棚田倶楽部に向かう。明日(11月29日から3日間、この会場で「鴨川の夜祭り」が再開される。昨年は中止された。)

スライドを使ってここでの取り組みについてミニ講義。講師のNPO法人大山千枚田保存会石田三示理事長。棚田倶楽部にて。大山千枚田地区で活動を続けてこられた石田理事長。「里山山村の将来図を語られた。自身に満ちた語りには山村の未来の夢がこもっている。大山千枚田の全景。首都圏に一番近い棚田として訪れる観光客が増えている。新しい顧客層も増え進化する地域。

和田の山間部にある自然の宿「くすの木」。平成9年にオープンした宿泊施設。廃校を改修し、教室を部屋に変えた。宿泊して、自然体験が楽しめる。地元食材で調理された七福膳弁当は、7地域の郷土料理が詰まった弁当。食材良し、味付け旨く、見た目を楽しませる彩のある盛り合わせ。申し分ない。教室の裏は山神社の境内。施設の名称の由来となった樹齢750年、高さ32メートルの大樟が天に枝を伸ばす。

廃校となった上三原小学校の古い写真を手に説明される北見館長。この後、館内を案内してもらう。萱葺の古民家「ろくすけ」。築180年というから江戸期の天保年間に建てられたことになる。今年初めて栽培した大豆畑が手前に見える。(写真は11月上旬に撮影したもの)ろくすけプロジェクトに10年間係わってこられた千葉自然学校の遠藤陽子事務局長。これからの「ろくすけ」の活用法について熱っぽく語る。

古民家の居間で遠藤氏の話を聞く。近い将来、簡易宿泊所の許可を得て、都会からの人が泊まり、自然を体験する場として活用していきたいと夢を語られた。遠藤氏からのメッセージは、“シニア自然大学の学生にもこれからこの地を活かしてもらいたい”古民家の前に広がる休耕中の棚田。棚田から「ろくすけ」を眺めると、郷愁をそそる里山と萱葺屋根の風景が見える。

平久里のランドマーク、伊予ヶ岳336mが夕陽に映える。頂上に登ることができるが、山頂付近は険しい。房総一の里山景観か!そのように讃える有名人も居られる。伊予ヶ岳が見える平久里下ののどかな風景。目を転じると富山(とみさん)が目に入る。この山は、江戸時代の小説「南総里見八犬伝」の中で、伏姫が籠った洞窟の場面に現れる。

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