宿泊研修

開催場所 九十九里、房総丘陵
開催日時 2013年5月27日 〜 2013年5月28日

房総半島の人と自然と歴史文化
九十九里から房総丘陵を巡る宿泊研修旅行
平成25年5月27日(月)~28日(火)

八鶴亭(東金)玄関前にて

 5月27、28日の両日、29名(学生26名と事務局員3名)が参加して前期の宿泊研修旅行が行われた。汗ばむ位の陽気が続く2日間、東金、いすみ、大多喜、市原をバスで訪れ、学びながら旅を楽しんできた。各地で半島の自然や歴史文化に触れ、地元の人の話に耳を傾け或いはNPOの人たちと交わって、同時に、学友との懇親を深める旅となった。宿泊は九十九里浜に面した国民宿舎サンライズ九十九里。名物イワシを始め新鮮な魚の料理に舌鼓をうった。

 最初に訪れたのは、東金市の八鶴湖(はっかくこ)。鷹狩に来た徳川家康の東金御殿があった地として知られる。御殿があったところは、今は県立東金高校の校舎が建っていた。湖の畔には明治18年創業の国の有形文化財に登録されている料亭・八鶴亭があり、ここで一休みしてお茶と名物のゆず羊羹の接待を受け、鶴岡支配人の案内で贅を尽くして建てられた日本建築の粋を隅々まで見せてもらった。このような素晴らしい日本の美にここで巡り合えて得した思いだ。

参道の400年杉は、住時の日光街道の杉並木を彷彿とさせる日吉神社参道の入り口で説明を聞く一向山王坂を下り、御成街道は東金御殿に続いていた。



一行は、鴇ヶ峰(ときがみね)の丘にある日吉神社横の駐車場でバスを降りて歩き始めた。樹齢400年の山武杉の並木が続く日吉神社の参道、豪商水野家の仏塔(4基の宝篋印塔)、堀跡残る切通し坂(山王坂)、そして、八鶴湖に続く旧道コースは、印象に残るものであった。更に筆者の興味を引いたのは、湖の周辺の「鴇ヶ峰(ときがみね)」や「とき池」など鴇の名前が付いた地名。中村俊彦講師の講義で聴いたばかりの房総半島の「鴇(とき)」の話を想い出し、東金にやってきた家康と鴇のことに想いを馳せることもできた。

御殿跡に建つ県立東金高校。正門が古式ゆかしいお茶の接待と館内を案内してもらった八鶴亭の玄関。接待を受けた大広間
湖月亭のゆず羊羹と煎餅

到着した宿舎で、九十九里の郷土研究家・斉藤功講師による「風土と文化」の講義を1時間聴講した。軽妙な話術でいわし文化、方言、食について語られたが、大漁節の節回しや歌詞、方言、浜で働く女性など土着性に溢れる話題は本などでは知りえないものであり、海と暮らす九十九里の人たちの生き様を聞いて圧倒されてしまった。猥雑な事例も敢えて紹介し、これも大事なことだと語る講師の伝統に対する真剣な想いが伝わり、郷土研究にかける斉藤氏の意地を垣間見た思い。

郷土研究家・斉藤功講師講義風景宿泊した国民宿舎サンライズ九十九里

2日目、朝食前には宿舎の前にある海岸に散歩に出かける人も多くいた。海岸には、ハマヒルガオガがきれいに咲いていた。朝食後、バスに乗り込み最初に向かったのは、「千葉県いすみ環境と文化のさとセンター」。いすみ地域は夷隅川が流れ、多様な自然環境に恵まれており、たくさんの生物が生息している。平成4年に当時の環境庁が「環境と文化のむら(さと)」という施設を全国4か所に設置する方針を決め、千葉県夷隅郡もその1つに選ばれ、平成7年にオープンした。まずは、施設の職員の方から、施設や周辺の地域、ホタルなどの生息生物についての説明があった。施設内には、イノシシやキョンなどのはく製や、ホタルなどの生態についての模型などもあり、皆興味津々で見ているようであった。センター内見学後、センターの外のエリアを案内してもらい、植物などについて説明を受けることもできた。途中、道の脇に小さい穴が掘ってあり、その中におそらく生みたての卵があることを見つけ、何の卵であろうかということで話が弾んだ。

咲いていたハマヒルガオ施設の方のお話を聞きながら見学中湿性生態園。現在は田んぼのほうに水が引かれている
途中で見つけたたまご畑で野菜も育てていた

次に向かったのは、大多喜城(県立中央博物館大多喜城分館)である。大多喜の地を支配していた本多忠勝についてなど大多喜城とゆかりのあることに関して説明を受けた後、4階まである展示室を各展示品の説明を受けながら見ていった。当時使われていた甲冑や食器、巻物など、実際に自分の目で見ることで大多喜の地の歴史をより身近に感じることができた。昼食後、大多喜駅から上総中野駅まで社長公募で話題を呼んだ「いすみ鉄道」に乗って移動した。乗った列車はムーミンや仲間たちのイラストが飾られているムーミン列車であり、かわいい列車に皆顔が綻んでいた。また、周辺の素晴らしい里山風景を見ることもできた。

今は懐かしい切符ムーミンたちの描かれている列車電車を待っているときは和やかな様子

上総中野駅から再びバスに乗って、最後に向かったのは市原市にある「SaToYaMaよくし隊」。里山の整備活動をしており、活動の様子の見学をした。各班4~5人の少人数グループに分かれ、整備している里山を案内してもらった。案内してもらいながら、子供たちと行っている活動で作ったものの紹介などもあり、活動の様子について詳しく知ることができた。また、里山を整備していくことで、キンラン・ギンランなどの絶滅寸前の植物が再び自生するようになったというお話も聞くことができた。それぞれ竹細工や竹炭、竹酢などをお土産に帰路についた。

SaToYaMaよくし隊の活動について最初に説明を聞いた少数班で里山を案内してもらう

トップに戻る