第61,62回講座「暮らしと危機管理」

講師 星幸広
開催場所 塚本ビル
開催日時 2013年3月7日

テーマは、「暮らしと危機管理」
塚本大千葉ビルで講義・フィールド(周辺市街地)調査

星幸広講師による「暮らしと危機管理」講座。第46・47回講座(昨年12月13日)以来、遠距離に出向いての講座が多かったので、久しぶりの本拠地千葉市での講座となった。午前中は座学講義で、午後からは、街の中に潜む危険についてタウンウオッチングを行い、教室に戻って各班からの発表とまとめが行われた。

警察OBであり、学校の危機管理論を語れる全国でも稀有な専門家として多忙な星幸広氏が本日の講師。千葉県警の警察官、署長、鉄道隊長、警察庁警備局(首相警備責任者)等々を歴任し、2005年に退官後、現在は千葉大学大学院教育学科講師とその略歴がプロフィールに紹介されていたが、今日は、暮らしの中に潜む危険にどのように対処したらよいかについて講義された。警察時代以来現場を重視されてこられた星氏の講座は、その方針に則って受講生と一緒に街に出てその中に潜む危険のことを考えてみるというスタイル。本論はもちろん、4人の首相の警護官を務められた氏の自己紹介やご自身の第2の人生プラン実現の話など、多彩な顔をもつ講師の人柄がにじみ出た講義は、この人でないと語れない内容も含まれているだけに耳を澄まして聞いた。

星幸広講師講義中

第61回講座 「暮らしと危機管理」

講師 星 幸広氏(千葉大学大学院講師)
日時 平成25年3月7日(木)10:00~15:00 
場所 千葉市塚本大ビル及び市街地
内容 講義を聞き、午後からは街中にある危険を意識しながらタウンウオッチングした。

安心・安全なまちづくり(午前)
北は稚内から南は八重山諸島の石垣島まで全国各地を講演で駆け回る星講師は、ほめ上手である。“教室に入ってきたときの雰囲気がとっても良く、どの方からもにこやかな表情で迎えてもらった。笑顔は人を納得させる力をもっているというが、この教室には学ぶ意欲が溢れており、今日は気持ち良く話せる”と冒頭の挨拶。教室の雰囲気が和やかで、それで一定の緊張感があるというのは最高のほめ言葉である。確かに、多くの講師からも同様のことを聞いている。これは、シニア自然大学が自慢できることの一つに違いない。

 警察官としての多彩なキャリアを経験され、人生を楽しむことにも貪欲な星講師の講義は、聞いて楽しい話から始まった。総理大臣警護責任者の任務を果たされた経験についても触れられ、国連会議や日米首脳の食事会に同席された話など大変に貴重な話を聞かせてもらった。56歳で退官後タイに海外移住を決意したところ、千葉大学に口説かれてしまい大学院教育学部で学校危機管理特科の設置に協力することになってしまったとのこと。学校現場では多くのトラブルが発生しているにも拘わらずそれに対応する理論がないとのことで始まった講座も、9年目を迎えたそうである。いずれはタイへの移住を実行するとのことで、話題がここからタイに移った。タイの習慣では食事した際の支払いの時には、必ず注文したものをチェックするそうで、これはタイに限らず外国で生活する際のイロハに当たることであり、外国で暮らす際の危機管理に当たるという。こうして何時の間にか暮らしの危機管理の本論に入っていった。時計を見ると、講義の時間は既に半分を経過していた。

生活の一部としてとりいれたい防災のこと
1.東日本大震災に学ぶこれが、流山で効果があった防犯表示。空き巣が嫌がるものとか。
児童74人が死亡した石巻市立大川小学校と幼稚園を取材して学んだことは、災害が発生して死ぬ人と助かる人の分かれ目は、災害が発生したその時どうするかにかかっていたことだという。良いケースとして、99.8%の児童生徒が助かった釜石市の例、悪いケースとしては、どうするかの議論のために50分間校庭に止まったために多くの児童を亡くした大川小学校の例を指摘された。 “どうするか?”の決めてとなるのは、日頃、①自分の住んでいる街のことを知ること。②常に家族でいざというときのことを話題にすること。次に自分の避難場所の確認と連絡網の整備、各種支援機関を確認しておくこと等があると指摘された。

2.ごくありふれた街の中に潜む危険
例1)スーパーで万引き犯人にされる
  スーパーのレシートを捨て持ち帰らないと、いざという際の証明するものがない。うっかりしていると、犯人にされる危険がある。
例2)信号待ちでの危険から身を守る
  まさかこんなところでの危機。イヤホーンを耳にして歩く人、自転車に乗る人もいる。
例3)痴漢に間違われる
  証拠がないのがこの犯罪の特色。何度も訴えでるなど病的振る舞いの女性被害者もいる。

生きているかぎり危険は隣り合わせのものであることを認識し、避けることができない危険と回避できる危険を分けて考える。回避できるものについては、どういう風に身を守るのか、それに気を配ることで危険を避けることができる。これが危機管理の考え方である。理屈ではなく、どれだけやるかが勝負どころだと強調された。
 
タウンウオッチングで確認した街中の危険と防犯(午後)
○信号機周辺の街角に潜む危険(1班)
  ポイントは、どこで信号待ちすればよいか?
  講評 交差点は事故多発地点、どのような突発事故が起こるか分からないので信号待ちしている場所は、信号柱や街路樹などの後ろで待つことを心がける。

○千葉公園などに潜む危険(2班)
  ポイントは、公園内の危険性について
  講評 トイレ、防犯カメラ・防犯灯の数、池の柵、砂場(子ども)、地形などを注意してみると危険性があることに気付くが、防犯のカメラや灯は設置してあればよいのではなく、どれだけの働きをするのかがポイントとなる。

○一般住宅地に潜む危険(3班)
  ポイントは、空き巣
   講評 坂道の多い住宅地や起伏のある住宅地は、空き巣などが逃げる場が多くあり防犯上重要なポイントとなる。歩き回ってみることが肝要。

千葉公園内でのタウンウオッチング風景
千葉公園入口古いタイプのトイレ 危険性は高い
新しいトイレ 危険性は低い
調査結果検討調査結果検討調査結果検討
公園入口にあった警察の緊急通報装置警察緊急通報装置案内
1班(上原良治氏)発表2班(佐藤研二氏)発表3班(牧本光夫氏)発表

次回は、第63回講座(3月14日) 
講座名:「自然体験活動の企画」 
講師 : 小松 敬氏(NPO法人千葉自然学校事業推進部長)

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