第60回講座「海の自然入門」

講師 青木慎哉、宮田昌彦
開催場所 勝浦市鵜原理想郷
開催日時 2013年2月28日

テーマは、「外房の海岸植物」
勝浦市鵜原理想郷にて

青木慎哉講師と宮田昌彦講師による「海の自然入門その2」講座。勝浦市の鵜原理想郷に出向き、ここで見られるいろいろな海岸植物について解説を聞いた。海岸を観察トリップするので天候が心配されたが、寒さも気にならない天気に恵まれ、厚着した服装では朝なぎに加え春を思わせる陽気に汗ばむ程だった。午後からは、講座も組まれていないので、「かつうらビッグひな祭り」が開催中の勝浦市内に出かけ、市内各所に飾られている可愛らしいひな飾りを見学した。

午前10時、バス組と自家用車組は海の博物館前で合流し、両講師の案内で観察トリップに出発した。博物館から歩いていける鵜原理想郷は小さな湾と岬が交互に続くリアス式海岸。自然観察には好適のエリアで、沖に太平洋が見渡せる岬の散歩道を歩きながら時々に立ち止まり、2月に見られる約60-70種の海岸植物を観察した。青木講師から白砂の鵜原海岸で海浜植物を観察し、絶壁が絵になる小さな入り江では崖に生えている植生についての説明を聞き、宮田講師からは岩場の海藻について興味深い話を聞くことができた。

青木慎哉講師宮田昌彦講師

第60回講座 「海の自然入門その2」

講師 青木 慎哉氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館 上席研究員)
    宮田 昌彦氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館 分館長)
日時 平成25年2月28日(木)10:00~13:00 
場所 勝浦市鵜原理想郷
内容 リアス式海岸を歩きながら浜や崖の台地に生える植物や海藻について説明を聞いた。

鵜原理想郷で海岸植物を観察トリップ
太平洋を望む風光明媚な岬と、白砂海岸の景観を楽しむことができる鵜原理想郷は、岬をぐるりと廻れる遊歩道が整備されており、各ポイントで海岸性の植物や海草を観察することができた。特に、坂を下った小さな入江で聞いた話に興味をそそられた。青木講師が“前面に出てきた植生”と表現された断崖に生えている植物の話や宮田講師の“着岸する黒潮”と“海から陸上に進出した植物進化の橋渡しをしたウスバアオノリ”の話に、身を乗り出して聞く受講生の姿が見られた。

“前面に出てきた植生”とは、崖に生えている植物のことを説明する際に青木講師が使われた言葉であるが、見上げる断崖の植物は種が飛んできて根を生やしたものと普通思われるが、いろいろな植物が厳しい崖に生えているのは台地からこの場に生存の地を移して成長してきたものであり、それぞれの植物の生き残り戦略でもあるという。 
“海から陸に進出した植物進化の橋渡しをしたウスバアオノリ”の話も面白かった。植物の葉が緑色になるのは葉緑素が吸収する光の波長によるものと理解していたが、陸に進出した植物の進化を辿ると、岩場の植物がある役割を果たしていたとの説明があった。確かに緑色の海藻ウスバアオノリは陸に一番近いところに生育しており、より海に近いところに、例えばワカメやアラメやカジキなどの茶色の海藻を見ることができる。単純化するとそういう存在の海藻である。そんな事実が何気ないような自然から読みとれるとは!

坂を下ると小さな入り江があった断崖には松以外の植物も見える
ウスバアオノリ岩場の緑色がウスバアオノリ、後方の岩場の海草は茶色の藻だ
テレビ(JCN)放映された番組(シニア自然大学紹介)を車中で視聴理想郷には早咲き河津桜が
鵜原理想郷を紹介する案内板
誰も居ない波静かな浜鵜原湾の浜を行くハマダイコンを観察
アラメとカジキの違い。茎が分岐するアラメ、分岐しないカジキ勝浦ビッグひな祭り会場にて

次回は、第61回講座(3月7日) 
講座名:「暮らしと危機管理」 
講師 :星 幸広氏(千葉大学講師)

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