第16回講座「里山の恵みの加工・販売技術」

講師 佐久間悦子
開催場所 たんぼはうす(木更津)
開催日時 2013年12月16日 〜 2013年12月18日

テーマは、「手作り味噌の仕込み」
木更津市十日市場「たんぼはうす」にて

JR久留里線上総清川の駅から体験施設のある「たんぼはうす」まで筆者は徒歩で向かったが、遮るものがない里地を吹き抜ける風は冷たい。年の瀬も近づき北風が身に染みる季節になってきた。会場は木更津市にある農産物の加工体験ができる教室。講師の佐久間悦子氏が昨年立ち上げた農産物直販所「たんぼはうす」に併設された施設である

里山の恵みを加工する技術を教わる第16回講座は、手作り味噌の仕込み体験である。シニア自然大学の有志が南房総市の茅葺民家の畑で育てた、県を代表する在来の大豆(小糸在来)を加工し、味噌を作る講座で、糀づくりから始めるため2日間の連続講座となった。自然の恵みは、米、塩、麹菌を混ぜ加工すると味噌になる。完成するには来年の9月まで時間がかかるため、今回の講座は味噌仕込みの工程を体験するもの。初日に米糀を仕込み、2日後に運び込んだ大豆を煮て塩きり糀と混合し、チョッパーなどでそれを潰してペースト状にする作業を全員で行った。作った味噌は自宅に持ち帰り、発酵・熟成するのを待つ。

佐久間 悦子講師会場の「たんぼはうす」

第16回講座 「里山の恵みの加工と販売技術」
講師  佐久間 悦子氏(千葉県上席農業改良普及員)
日時  12月16日(月)・18日(水)10:00~15:00(19日は13:30まで)
場所  たんぼはうす(木更津市十日市場)

米糀づくりから始める味噌の仕込み
初日は、米糀(こめこうじ)づくり。よく研いだ米を蒸し、蒸気抜きして冷ました米に麹菌を混ぜる糀仕込みを行った。前日に佐久間講師が研いで水に浸してあったうるち米の水をよくきり、40分間蒸し器で蒸した米を冷まして、麹菌を全体に振りかけ手の平で練り込む。次に、その米を幼児の頭大に丸め米袋にぎゅうぎゅう詰め込む作業である。その後の出糀(でこうじ)までの作業は、講師に代行してやってもらった。

糀を仕込んでから2日後、次の作業に取り掛かる。先ず、「ろくすけ」から運んだ大豆を圧力釜で煮ることから始めた。茹で上がった大豆は冷ましてから潰すことになるが、潰すプロセスはチョッパー(潰し機)と餅つき機をそれぞれ使って行う。釜煮している間に米糀に塩を混ぜた塩きり糀を作っておいて、ペースト状になった大豆と混合した。最後に、米袋に拳大の味噌玉を隙間のないように詰め込み、一旦冷まして5キロずつポリ容器に詰め替えて、各自に配分された。チョッパーの作業中に怪我人が出てしまったが、安全な作業についての注意喚起は尚徹底しておかねばならない。

余談になる。麹のことであるが、米、麦、大豆などで作られる麹は漢字で表すと「麹」。配られた資料には“麹菌”と“糀づくり”と、2種類の「こうじ」の漢字が使われていた。不思議に思って調べてみたら、全般的に「こうじ」を表す漢字が「麹」で、一方、米偏に花と書く「糀」は米糀づくりに使われている漢字であることを知った。

先ず、手作り味噌仕込み作業の講習蒸すので米の水はよく切っておくことセイロ(蒸籠)に移す。
3段重ねセイロ蒸し器蒸している時間を利用して、大豆の量を計り必要分量に分けていく。こうした作業はさすがに手際が良い。蒸し上がった白米を前に、これからの作業について段取りを説明する講師。40分間蒸し器で蒸した米を晒しの上に広げる。この後、蒸気抜きし、白米を冷ます。蒸した米はシャモジで広げながら蒸気抜きしていく。温度計で測りながら35度位まで冷ます。米糀を作るために蒸した米にふりかける麹菌。粉状で売られている。菌種はニホンコウジカビ(A.オリゼ)。
麹菌を全体に振りかける。ふりかけられた米は、表面に傷をつけ内部に麹菌が入りやすくするため手の平で良くもみつける。熱を上がり易くするために麹菌を揉みつけて幼児の頭大に握る。種付けされた蒸し米はこの状態で米袋に詰める。米袋に詰めるのは、室温35度前後の麹室内と同じ状態にするため。更に箱にいれて新聞紙で包んで保温状態をよくし、42~44時間寝かせる。
ここまでで、初日は終了。2日後に糀の花が咲く。たんぼはうすの裏に干してあった吊るし柿。2日目の作業開始。塩分13%の味噌を仕込む。大豆を煮て、塩きり糀と混ぜる作業について段取りを説明する講師前日に講師に代行してやってもらった水洗された大豆。一晩水につけておいた大豆の水を切り、圧力鍋に入れて煮た。
大豆を煮る圧力鍋。たっぷりの水で煮る。煮え加減は親指と小指で挟んで軽くつぶれる程度。茹でた大豆と塩きりした米糀を十分に混ぜる。糀に塩を混ぜるのは保存をよくするためで、種水を加えながら硬さを調整する。よくかきまぜられた大豆と糀を潰すために、潰し器(チョッパー)を使用した。チョッパーの使い方を教える講師。
チョッパーにかけるために小さく丸める。チョッパーからミート状になった味噌が出てくる。手で受けて空気を抜きながら球状に丸めていく。餅つき機を利用した組は、予め一人分の大豆と米糀を混ぜた分量を量った。約3500g相当の量。それを餅つき機の中で突く。
餅つき機で大豆を潰す。潰れた大豆と糀味噌玉を作る。
叩きつけるように投入する。作業も大詰め。味噌玉をポリ容器に詰める。ポリ容器の底には振り塩をし、詰めた味噌玉を隙間無く並べて、拳や手のひらで平らに突き固めた。最後にビニールの上から表面に振り塩をする。出来た味噌を自宅に持ち帰り、これから来年の9月にかけて発酵し熟成するのを待つ。味噌の味は信州味噌系とか。
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