第25回講座「土壌・肥料入門」

講師 坂本昌夫
開催場所 塚本ビル
開催日時 2012年9月6日 午後

第25回講座 「土壌肥料入門」

講師 坂本 昌夫氏(NPO法人 ちば農業支援ネットワーク事務局長)
スケジュール 午後1時~3時
教室 塚本ビル8階会議室(千葉市)
内容 植物栽培の基本となる土づくりと肥料の役割について学ぶ講座で、本日の講義は土壌について、次回が肥料について。

坂本昌夫講師
自宅での園芸として、市民農園などでの野菜や花栽培を行う際には、土壌と肥料のことを気にかけねばならない。その重要性については繰り返し聞かされてきたことで、酸性土壌のこと、微生物のことなど断片的な知識は持ち合わせていたが、これはなんとなく覚えたもので体系的なものではない。微生物のことについては、これまでのさまざまな講座で耳にしてきた。筆者もこれまで土壌についてもう少し調べてみようとしたことがある。しかし、土壌PHとか、コロイド、砂壌土など専門的な用語が並ぶ解説書をパラパラ捲ると、素人が手掛けるには難儀なことだと、腰が引けてきた。この講座を聞いて初めて体系的な知識を得ることができた。坂本講師は、ご自身の体験談を交え丁寧に噛み砕きながら説明された。又、土壌サンプルまで持参されて興味を呼び起こすような解説をなされたので、土壌が果している役割について、全体像を理解するきっかけになったのではないかと思った。
 
 土壌編の講義の概要は、以下の通りです。
1.土壌の役割
1)植物体を支持する
2)水分・養分を保持する
3)土壌微生物・小動物を育む(病原・害虫も含む)
4)酸素の供給
 2.土壌の種類
 3.土壌の構成
1)生物性
2)物理性
3)化学性
 4.堆肥・有機物の施用効果について

 わずか1グラムの土壌中に、細菌1億、糸状菌(カビ類)数十億、藻類10万、原生動物1万が存在しているという。これは驚きの数である。この微生物が土壌を豊かにする素になっており、土は活きているとは思ってきた。
土壌は、生物性、物理性、化学性のもので構成される。この内、生物性と物理性については土壌微生物が関係している。生物性とは土壌微生物や小動物に由来するもので、土の栄養分となる。物理性とは土の塊のことで、土の団粒構造を指すという。土には砂から粘土までいろいろな種類があるが、土の団粒とは土壌粒子が土壌微生物の排泄物等でお互いに接続し部分的に塊になった状態のことでいう。これが土の通気、浸透、保水に影響を与える。土を手にとって調べることがあるが、これは土の団粒構造を確認している行為だろう。

 土壌の酸性度を表わすPHのことはよく耳にするが、土壌が酸性化するメカニズムについてはあまり理解していなかった。粘土や腐植を含む土壌の表面は、マイナス電荷を帯びる特性(コロイドという)があるそうで、陽イオンは保持しやすく、陰イオンは保持されずに流亡しやすいとされ、このため土壌は酸性化するとのこと。雨水などは流亡し、アンモニアなどは作物に吸収され、土壌コロイドは酸性化するという。作物によってそれぞれ適正なPHがあるとのことで、その知識も持ち合わせていなかったので参考になった。
 この生物性、物理性、化学性をもった土壌は劣化していくことになるが、それをリカバーするためには堆肥が必要となる。最後に、分解された有機物の効果について解説された。

土壌のサンプルを見る受講生

次回は、9月13日(木)の第27回講座 講座名 天文学コミュニケーション入門 講師 高梨直紘氏(東大生産技術研究所特任助教)会場 千葉市科学館きぼーる内) 
尚、第26回講座「気象入門」(石井講師)は、講師都合により11月1日に延期される。

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