里山づくりの理論

講師 金親博榮
開催場所 谷当工房
開催日時 2013年9月25日

専攻科第10回講座
「里山作りの理論」

お馴染みの金親講師

今日から3回におよぶ「里山整備の理論と実践」講座は、金親講師が自身長年育んでこられた多彩な里山活動の施設・現場の中心に位置する金親邸・谷当工房の一角のガレージ内の特設教室で始まった。
まず、里山の母国・日本、自然とともに生きてきた日本人、裏山を生活の源泉として活用してきた歴史と効用が述べられ、昨今の新書版「里山資本主義」が話題になっている最中、いわば“里山哲学論”とも云えるお話は実に分かり易い。氏自身の農園創設、棚田の再生、炭焼きビジネス、キャンプ場兼野外広場設置、雑木林の下草刈りや剪定などなど、実践に裏打ちされた里山保全いや活用論は明日の里山の姿をくっきりと眼前に描き出すほどに力強いものがある。わざわざ台湾から視察団が来訪して、いろいろに感動しつつ、ボランテイア活動に殊の外感心していたとのこと、里山経営には地元とのつながり、市民の活動が欠かせないこととぴったり符合している。

ガレージに椅子を配置した、里山らしいユニークな教室?

次は「どんな里山にしていくのか」。里山を2次的自然として、ひとがどう関与していくのか、がテーゼである。里山の立地環境、風土・地勢・植生などが種々調査、把握されなければならない。正に前回までの植生調査が生きてくる場面である。そうして、どんな里山を目指すか、短期・中期・長期にわたり、その目的は、楽しみ、ビジネス、ひいては災害時の避難場所としての役割までに及んで、際限のないことが時間一杯語られた。

「理論」はここまで。午前中の後半は一転して、なにはともあれ候補地区の整備に欠かせない「下刈り」へと技術論が始まった。集団で斜面を歩行しながら横一線に歩を進め、鎌や刈払機を用いた基本作業だ。講師の手にはいつのまにか2メートルもある柄の付いた電動刈払い機が。林野庁によって規格が決められた林業および農業用が普及しているが、その取扱いは注意の上にも注意をと、身支度から装着、動作まで一瞬たりとも気が抜けないことが、集中力を高めた物腰から切々と感じられた。

約2メートルもある芝払い機ブレードのいろいろ

技術論の第一歩を終えたところで昼食、ここで台風20号の外縁の雨雲による本格的な降雨となった。講座は一転、谷当工房を料理教室に仕立てた「そば打ち」が始まった。そこは自然体験を旨とする一同、ただちに呼応して、本格的な決まりの40分とはいかなかったが、1時間余の奮闘で、各自二人前づつの打ちたての生そばを持参して帰路へと着いた。






「木鉢」から「延ばし」、延ばしから「切り」へと二人一組になって実体験

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